正社員の人権が侵害されかかっている
これまでの日本では、外国人労働者や非正規雇用者の人権侵害が社会問題として注目されてきました。これらの問題に対しては、ここ数年で政府や企業の取り組みにより、改善の動きが見られます。しかし、この改善過程で新たな問題が浮上してきています。それは、正社員、特に中間管理層の人権が侵害されかかっているという事態です。
非正規雇用者の労働環境改善や外国人労働者の権利確立は必要不可欠な進歩ですが、その結果として正社員に対する企業の期待や負担が増大している現状があります。特に中間管理層は、上層部のプレッシャーと部下の管理の狭間で、過剰な業務量、長時間労働、精神的ストレスといった問題に直面しています。これらは、従来の非正規雇用者や外国人労働者が経験してきた問題とは異なる形での人権侵害とも言えるでしょう。
また、コロナ禍におけるリモートワークの普及により、仕事と私生活の境界があいまいになり、オンとオフの切り替えが難しくなっていることも、正社員のストレスを増大させています。働き方の柔軟性が求められる一方で、それが過度な業務要求につながり、結果的に人権を侵害するリスクを高めているのです。
このように、非正規雇用者や外国人労働者の人権保護に向けた改善が、意図せず正社員の労働環境を圧迫している現状を理解し、すべての労働者の人権が守られるよう、均衡のとれた対策が求められています。それには、企業文化の変革や働き方の見直しだけでなく、法制度の整備や社会全体の意識改革も必要とされています。正社員の人権が侵害されることなく、すべての労働者が健全な労働環境で働ける社会を目指すべきです。
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