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食品工場のISO45001取得のメリットと導入の流れ

1. 食品工場がISO45001を取得する意味と背景とは


1.1 ISO45001はどんな規格?食品工場に必要な理由

ISO45001は、「労働安全衛生マネジメントシステム(OH&S)」に関する国際規格です。
職場におけるケガや病気などの労働災害を防ぎ、安全で健康的な職場づくりを目的としています。

この規格の特徴は、単なる安全対策にとどまらず、組織全体のマネジメントと連携しながら“継続的な改善”を図る点にあります。

食品工場の現場では、重機や高温機器、刃物を使う作業が日常的にあります。
床が滑りやすかったり、作業スペースが狭かったりと、事故につながるリスクが潜んでいるケースも多く見られます。

こうした職場環境において、安全対策を“ルール化”して浸透させるのがISO45001の役割です。

たとえば以下のような仕組みが求められます。

  • 危険源の洗い出しとリスク評価
  • 事故発生時の対応フローの明確化
  • 定期的な安全教育の実施
  • 労働者の意見を反映する仕組み

これらを社内でルール化し、PDCAサイクルで改善を重ねていくことで、事故の発生リスクを大幅に減らせます。

また、ISO45001は外部への信頼性向上にもつながります。
安全管理の認証を取得していることで、取引先や顧客に対しても「安心・安全な職場環境を維持している企業」として信頼を得やすくなります。

さらに、企業の社会的責任(CSR)や、サステナビリティの一環としても評価されるようになっており、ISO45001の導入は今や“選ばれる食品企業”の新たな基準とも言えるようになってきています。

1.2 労働安全が問われる食品工場の現場事情

食品工場の現場は、一見すると整然としていて衛生的に見えますが、実際の作業現場には多くのリスクが存在します。
特に労働安全の面では、以下のような課題が日常的に発生しています。

作業者が機械に巻き込まれたり、滑って転倒したりする事故は、実際に多くの工場で起きています。

以下に、食品工場でよく見られる安全上のリスクをいくつか挙げてみます。

  • スリップ・転倒事故:床の水や油分が原因で滑る
  • 機械への巻き込まれ:包装機、カッター、コンベアなどの未対策
  • 熱傷や切創:高温釜や加熱装置、包丁・スライサーの取り扱い
  • 過重労働による健康被害:繁忙期や人手不足による連勤・長時間作業

たとえば、冷蔵エリアでの作業は、床が濡れていることが多く、滑り止めが不十分な靴では転倒事故が起こりやすくなります。
また、搬送ラインの不備により、手指を機械に挟まれる事故も後を絶ちません。

こうした現場リスクを放置してしまうと、次のような大きな問題につながります。

  • 労災発生による操業停止
  • 従業員の離職・モチベーション低下
  • 企業としての信頼失墜・風評リスク

一度でも重大事故が発生すると、再発防止対策の徹底、外部監査の強化、業務の見直しが必要になり、結果的に大きな時間とコストがかかることになります。

そのため、「事故を未然に防ぐ」ための仕組みづくりが、食品工場にとって非常に大事なんです。

ISO45001を活用すれば、これらのリスクに対して体系的にアプローチでき、安全な職場環境の実現に近づきます。
結果として、従業員の安心感が生まれ、職場全体の生産性も高まっていきます。

2. 食品工場がISO45001を取得することで得られるメリットとは


2.1 労働災害リスクが減り、コストも削減できる

食品工場でISO45001を取得する最大のメリットのひとつが、労働災害のリスクを大幅に下げられることです。

安全に関するルールを明文化し、定期的な見直しや教育を通じて職場に浸透させていくことで、「事故が起きない仕組み」を作り上げることができます。

たとえば、こんなリスクが想定されます。

  • 作業者のヒューマンエラーによるけが
  • 機械の安全装置が不十分で巻き込まれ事故が発生
  • 重量物運搬による腰痛などの慢性的な障害
  • 職場内の不衛生環境による体調不良や感染症

こういった事故が起きるたびに、企業には医療費・補償費だけでなく、再発防止対応や業務停止による機会損失など、目に見えないコストが発生します。

ある調査によれば、労働災害1件あたりにかかるコストは数十万円〜数百万円にも及ぶことがあります。

ISO45001の導入により、次のような改善が期待できます。

  • 危険源を洗い出し、優先度の高いリスクから対応
  • 手順やルールを文書化し、誰でも理解できるように整備
  • 安全確認のチェックリストを導入し、日々の点検を習慣化
  • トラブル発生時の対処フローを明確化し、混乱を防止

こうした取り組みによって、事故そのものを未然に防ぐことができ、結果的にコスト削減にもつながるのです。

また、労働災害が減ることで従業員の離職リスクも抑えられ、人材採用や育成にかかる間接的なコストも抑えられるという副次的な効果も見逃せません。

「安全を確保する=無駄なコストを減らす」ことにつながる、というのがISO45001取得の大きなメリットなんです。

2.2 従業員の満足度アップと定着率の向上

ISO45001を取得すると、食品工場の従業員にとって働きやすい環境を作りやすくなります
安全で健康的な職場が整うことで、従業員の安心感や満足度が自然に高まるのが大きなメリットです。

食品工場では、重い荷物や高温機器、機械操作などが日常的に行われます。
こうした作業の中で安全ルールや危険回避の仕組みが整備されていないと、ストレスや不安が蓄積し、離職率の上昇につながります。

ISO45001では、次のような仕組みが導入されます。

  • 危険予知活動(KY活動)で従業員が自主的にリスクを共有
  • 教育・訓練の実施で事故の防止スキルを習得
  • 意見や提案を反映する仕組みにより、現場の声を経営に活かす

これにより、従業員は「自分の安全が守られている」と実感でき、職場への信頼感が増します。
結果として、定着率が向上し、採用や教育コストの削減にもつながるのです。

さらに、従業員満足度が高まることで、作業効率や品質意識の向上にもつながります。
安全管理がしっかりしている職場では、無理な作業や焦りによるミスも減り、食品安全や生産効率にも好影響が出ます。

「安全な職場環境は、従業員の満足度向上と長期的な定着につながる」ことを意識すると、ISO45001取得の価値がより明確になります。

2.3 ブランドや信頼性の強化にもつながる

食品工場でISO45001を取得すると、従業員だけでなく、取引先や顧客からの信頼も高まるというメリットがあります

食品業界では、安全管理や労働環境の整備が不十分な企業は、品質や衛生管理の信頼性も疑われやすいのが現状です。
一方で、ISO45001認証を持っている企業は、「安全で健康的な職場を維持している企業」として第三者からも評価されます。

具体的には次のような効果があります。

  • 取引先からの信用向上:サプライチェーン全体で安全・安心を担保できる
  • 入札・契約での優位性:認証取得が条件となる案件での競争力アップ
  • 企業イメージの向上:CSRやサステナビリティへの取り組みとしてアピール可能

たとえば、ある食品工場では、ISO45001認証を取得したことで新規取引先の開拓に成功し、受注機会が増えたという事例もあります。
これは、安全・健康への取り組みを見える化することで、取引先からの安心感が生まれるためです。

また、従業員や社会に向けて「安全・安心を優先する企業」というブランド価値を発信できる点も大きな魅力です。
結果として、企業全体の信頼性が高まり、長期的なビジネスの安定につながるのです。

3. 食品工場でISO45001を導入するときによくある失敗とその回避策


3.1 書類だけの運用で現場が動かない

ISO45001を導入する際、書類やマニュアルだけが整備されて、実際の現場で運用されないケースが非常に多く見られます

食品工場では、作業手順書や安全マニュアルを作成すること自体は簡単ですが、それを従業員が日常業務で実践するかどうかは別問題です。
書類が形だけで存在していると、次のような問題が発生します。

  • 危険箇所のチェックが実際には行われない
  • 教育や訓練が形式的で理解度が低い
  • 従業員がルールの重要性を実感できず、事故につながる

こうした失敗を防ぐためには、文書化と現場運用をセットで考えることが大事です。
具体的な対策は次の通りです。

  • 書類の内容を実際の作業に即した形に修正する
  • 日常点検や巡回の中でチェックリストを活用する
  • 教育や訓練で「なぜこの手順が必要か」を従業員に理解させる

このように、単なる書類作成で終わらせず、現場で使える仕組みとして定着させることが成功のポイントです。

3.2 専任者の負荷が大きすぎて形骸化する

ISO45001の運用でよくある失敗のひとつが、特定の担当者に業務負荷が集中しすぎることです。

食品工場では、労働安全衛生に関する作業は現場管理者や専任担当者に任せるケースが多くあります。
しかし、日常の生産業務と並行してISO45001の管理業務まで抱えると、次のようなリスクが生じます。

  • 書類作成やリスク評価が後回しになり、形骸化する
  • 内部監査や改善活動の実施が不定期になる
  • 専任者の疲弊によるミスや判断の遅れが発生

これを防ぐには、組織全体で安全活動を分担することが重要です。具体策は以下の通りです。

  • 複数人でリスクアセスメントや巡回点検を担当する
  • 安全委員会や現場責任者を巻き込み、権限と役割を明確化
  • 定期的に報告・共有する仕組みを作り、責任の偏りを防ぐ

こうした体制を作ることで、ISO45001の運用が特定の人に依存せず、現場に定着した継続的な安全管理が可能になります。

3.3 現場からの反発で運用が止まる

ISO45001の運用で意外に多い失敗が、現場作業者の理解不足や反発によって、安全管理活動が停滞することです。

食品工場では、生産効率や納期のプレッシャーが強く、作業者にとって「安全ルールやチェックの追加作業」が負担に感じられる場合があります。
その結果、次のような状況が起こりやすくなります。

  • 手順書通りに作業せず、既存のやり方で作業してしまう
  • 安全巡回や報告書作成が形式的になる
  • 教育や訓練に参加しても理解が浅く、改善が進まない

こうした反発を防ぐためには、現場の声を反映させることと、納得感を持たせる教育が不可欠です。具体策は以下の通りです。

  • 危険箇所や改善点の意見を作業者から定期的に収集する
  • なぜこのルールが必要なのかを具体例や過去の事例を用いて説明する
  • 小さな改善でも成果を見える化し、現場のモチベーションを高める

現場が主体的に安全管理に関わることで、ISO45001の運用は初めてスムーズに定着します。
反発を抑え、協力を得られる体制づくりが、安全性向上と事故防止の鍵となります。

4. 食品工場がISO45001を取得するためのステップと流れ


4.1 現状を知るための初期診断とギャップ分析

ISO45001を取得するための第一歩は、現状把握と課題の整理です。
特に食品工場では、作業環境や安全ルールの整備状況が工場ごとに異なるため、まず現状をしっかり把握することが重要です。

初期診断では、以下のポイントを中心にチェックします。

  • 現場での安全管理ルールや手順書の有無
  • 危険源の洗い出しとリスク評価の実施状況
  • 過去の労働災害やヒヤリハットの記録
  • 教育訓練の実施状況や従業員の安全意識

これらを踏まえて、理想のISO45001運用と現状のギャップを明確化します。
ギャップ分析により、改善すべき優先事項やリソース配分を具体的に決めることができます。

たとえば、危険源の記録が曖昧な工場では、まずリスクアセスメントの整備からスタートする必要があります。
一方で、教育訓練が十分でない場合は、短期間で従業員への教育体制を構築することが優先課題になります。

ポイントは、現場の状況を数字や記録で可視化し、改善の優先順位を明確にすることです。
この段階を丁寧に行うことで、その後のISO45001導入作業がスムーズに進みます。

4.2 リスクアセスメントと手順書の整備

ISO45001導入で重要なのは、リスクを見える化し、現場で実践できる手順書を整備することです。
これにより、事故や健康被害の発生を未然に防ぐことができます。

具体的な作業内容は次の通りです。

  • 危険源の洗い出しとリスクの優先順位付け
  • 作業手順書の作成・更新、現場に即した内容に調整
  • 安全装置や防護具の使用方法の明確化
  • リスク低減策や事故発生時の対応フローの整備

ポイントは、手順書を作るだけでなく、従業員が理解・実践できる形にすることです。


チェックリストや図解を用いれば、誰でも安全に作業できる仕組みが作れます。
これにより、日常業務と安全管理が自然に連動し、ISO45001運用が現場に定着しやすくなります。

4.3 内部監査から認証取得、そして継続改善へ

ISO45001取得には、内部監査で現場運用のチェックを行い、改善を繰り返すことが欠かせません
これにより、認証取得後も安全管理を持続的に改善できます。

具体的なステップは以下です。

  • 内部監査の実施:手順書通りに運用されているか確認
  • 是正処置の実施:不備や改善点に対する対策の実施
  • 外部審査への対応:認証機関による審査の準備と実施
  • 継続改善:PDCAサイクルで安全管理を定期的に見直す

ポイントは、監査を単なるチェックに終わらせず、改善につなげることです。
これにより、事故防止や従業員の安心感が向上し、ISO45001の効果を最大化できます。


また、定期的なレビューや報告により、経営層も安全対策の状況を把握でき、現場との連携もスムーズになります。

5. 食品工場のISO45001取得を成功に導くTMTユニバーサルの支援内容


5.1 食品工場に特化したコンサルティングの強み

TMTユニバーサルは、食品工場に特化したコンサルティングでISO45001取得をサポートしています
現場の実情に合わせたアドバイスで、安全管理の定着を支援できるのが強みです。

具体的には以下のポイントがあります。

  • 現場目線での課題整理と優先順位付け
  • 作業環境や工程に合わせたリスクアセスメントの設計
  • 衛生管理や品質管理との統合的アプローチ
  • 初回ヒアリングから改善計画策定までの一貫支援

特に、「何から手をつけるか分からない」「改善の優先順位を整理したい」という漠然とした課題でも、初回診断で現状を把握し、具体的な改善策を提示します。
これにより、ISO45001取得に向けて現場が無理なく動きやすくなり、作業負荷の偏りや形骸化を防げます。

5.2 ISO45001取得から運用定着までトータルサポート

TMTユニバーサルでは、ISO45001の取得だけでなく、運用の定着までを一貫してサポートしています。
取得後も現場に制度が根付くことで、長期的な効果を得られます。

具体的な支援内容は以下です。

  • 文書作成やリスクアセスメントの導入支援
  • 内部監査や改善計画の策定・実施支援
  • 従業員教育や現場訓練の実施
  • 運用状況の定期チェックと改善提案

ポイントは、現場の負担を減らしながら、継続的に安全管理が回る仕組みを作ることです。
TMTユニバーサルのサポートにより、書類だけで終わらず、現場の作業に自然にISO45001が組み込まれます。
これにより、事故防止や従業員の安心感が向上し、認証の価値を最大化できます。

5.3 教育・助成金活用など幅広い支援体制

TMTユニバーサルは、ISO45001取得に伴う教育や資金面の支援も提供しています。
これにより、食品工場が無理なく安全管理を定着させられます。

具体的な支援内容は以下です。

  • 従業員向け安全教育や現場訓練の実施
  • HACCPや食品安全管理との連携教育
  • 補助金・助成金の申請支援で初期コストを軽減
  • 現場改善や安全施策の実行計画サポート

ポイントは、教育・資金・改善の三つの面から現場を総合的に支援することです。
これにより、従業員が安全意識を高めつつ、企業側も負担を抑えてISO45001の運用を定着させられます。


安全管理を制度として定着させるためには、現場と経営双方のサポートが欠かせません。

6. 食品工場でISO45001を取得する前に確認しておきたいポイント


6.1 想定費用や予算、必要なリソースは?

ISO45001取得には、費用や人員リソースの事前把握が大事です。
食品工場の規模や現状により必要な工数やコストは変わるため、計画段階で整理しておくとスムーズです。

確認すべきポイントは以下です。

  • ISO45001取得にかかる審査費用やコンサル費用
  • 文書作成やリスクアセスメントに必要な社内担当者の工数
  • 教育・訓練の実施にかかる時間と予算
  • 外部審査や更新手続きに必要な費用・期間

ポイントは、費用や人員の見積もりを現実的に計画し、負担を分散させることです。
初期段階で明確にしておくことで、導入時の混乱や追加コストを防ぎ、ISO45001取得プロジェクトを効率よく進められます。

6.2 推進体制づくりと社内の協力体制

ISO45001を定着させるには、社内で推進体制を整え、従業員の協力を得ることが不可欠です。
体制が不十分だと、運用が形骸化し、効果が出にくくなります。

整備すべきポイントは以下です。

  • 安全管理責任者や担当者の明確化
  • 現場作業者も含めた安全委員会やチームの設置
  • 役割分担や権限の明確化、報告ルートの整備
  • 定期ミーティングや情報共有の仕組み作り

ポイントは、一部の担当者だけでなく、現場全体で安全管理を回す体制を作ることです。
協力体制が整えば、現場でのルール遵守や改善提案が活発になり、ISO45001の運用が安定します。

6.3 コンサルや審査機関選びのチェックポイント

ISO45001取得では、信頼できるコンサルタントや審査機関を選ぶことも重要です。
適切なパートナーがいれば、スムーズに取得でき、運用定着も促進されます。

確認すべきポイントは以下です。

  • 食品工場の実務に詳しいか
  • 取得だけでなく運用定着までサポートできるか
  • 内部監査やリスクアセスメントの経験が豊富か
  • 補助金や助成金の活用支援が可能か
  • 審査機関の認定範囲や対応スピード

ポイントは、実務経験と現場目線での支援力を重視することです。
適切なコンサル・審査機関を選ぶことで、ISO45001取得の負担を減らし、現場への定着を確実にすることができます。

7. まとめ


食品工場におけるISO45001取得は、安全な職場環境の実現と企業価値の向上に直結します。
導入を検討する際のポイントを整理すると、スムーズに取得が可能です。

  • 労働災害リスクの低減とコスト削減
  • 従業員の満足度向上と定着率アップ
  • ブランド力や取引先からの信頼向上
  • 現場運用を重視した内部監査・改善の定着
  • コンサルや審査機関の選定で負担軽減

ISO45001は書類だけの制度ではなく、現場で活かすことで初めて効果が出ます。
TMTユニバーサルの支援を活用すれば、現場と経営の両面から安全管理を定着させ、食品工場の未来を守ることができます。

現場に根付くISO45001運用ならTMTユニバーサルへ


取得だけでなく、運用定着までサポート。現場に合わせた教育・改善計画・補助金活用など、幅広い支援が可能です。
詳細はTMTユニバーサルの公式サイトでご確認ください。

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